「せっかく購入したマンション、自分好みにリフォームしたい!」 「古くなった設備を新しくしたい」
マンションにお住まいの方なら、一度は専有部分(お部屋の中)の修繕や模様替えを検討されたことがあるのではないでしょうか。
ところが、いざ管理規約を見てみると… 「専有部分の修繕や模様替えを行う際は、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受けなければならない」 といった条文があり、驚かれる方が少なくありません。
「高いお金を出して買った自分の所有物(専有部分)なのに、なぜ他人の許可が必要なの?」 「自分の家くらい自由にしてはいけないの?」
今回は、そんな素朴な疑問にお答えします。
1.マンションは「運命共同体」?
戸建て住宅と異なり、マンションは一つの大きな建物を多くの人で区分して所有しています。 壁一枚、床一枚を隔てて、上下左右に他の住人が生活しているのがマンションという住まい方です。
もし、ある住戸が勝手な工事をしてしまったらどうなるでしょうか?
壁を壊したら、建物全体を支える重要な壁(耐力壁)だった…
床材を変えたら、下の階に足音が丸聞こえになってしまった…
配管工事のミスで、下の階に水漏れしてしまった…
このように、「個人の専有部分の使い方や工事が、他の住戸や建物全体に大きな影響を与える」可能性があるのです。
2.法律でも認められている「ルールの設定」
マンションに関する法律である「区分所有法」の第30条には、このように書かれています。
「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」
少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「みんなで快適に暮らすためのルール(規約)を、自分たちで決めてもいいですよ」ということです。
管理組合の役割は、単に廊下やエントランス(共用部分)を掃除することだけではありません。マンションという建物全体(専有部分を含む)を適切に維持・管理すること(広義の管理)も重要な役割なのです。
そのため、管理規約で「リフォームには承認が必要」というルールを設けることは、法的に正当なこととして認められています。
3.理事長は「何」をチェックしているの?
「承認が必要」といっても、理事長が個人の好みに口出しをするわけではありません。 「その壁紙の色は趣味じゃないからダメ」なんてことは言われないのでご安心ください。
承認の判断基準は、主に以下のポイントに絞られます。
建物の強度への影響
コンクリートの躯体(くたい)や、構造上重要な壁を傷つける工事ではないか?
騒音トラブルの防止
フローリングの遮音性能(L値など)は、規約の基準を満たしているか?
安全性(防火・防音・配管)
火災報知器やスプリンクラーの機能が損なわれないか?
配管の接続は適切か?(水漏れリスク)
つまり、「他の住人に迷惑をかけないか」「建物の安全性を脅かさないか」という、共同生活における基本的な事項だけをチェックしているのです。
4.まとめ:ルールは「自分たちの資産」を守るため
「承認手続き」と聞くと面倒に感じるかもしれませんが、これは逆に言えば「他の住人が勝手な工事をして、あなたの生活を脅かすことを防いでいる」とも言えます。
適切な手続きを経てリフォームを行うことは、ご自身の快適な暮らしだけでなく、マンション全体の資産価値と安全を守ることにつながります。
リフォームを検討される際は、まずは管理規約を確認し、早めに管理組合や管理会社へ相談することをおすすめします。
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