2026年4月から始まる新しい法律の仕組み「管理不全専有部分管理命令制度」について、ポイントを絞って分かりやすく解説します 。
1. どのような制度か
この制度は、部屋の持ち主(所有者)が分かっているのに、その人が部屋を適切に管理しないことで周りに迷惑をかけている場合、裁判所に申し立てて「管理人」を選んでもらう仕組みです。
これまでは、持ち主が分かっている部屋に対して外から強制的に手を出すことは非常に困難でした。しかし、この制度によって、マンション全体や近隣住民に実害が出ている場合には、法的な解決が可能になります。
2. どのような時に使えるか
この制度を利用するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
管理がしっかりされていないこと:持ち主が部屋の掃除や手入れを放置している客観的な事実がある場合です。
他人の権利が脅かされていること:ゴミ屋敷による悪臭や害虫の発生、設備の故障による漏水などが、他の居住者に迷惑をかけている(またはその恐れがある)状態を指します。
管理人による管理が必要であること:裁判所が、管理人を選んで対応させることが問題解決にふさわしいと認める必要があります。
3. 選ばれた「管理人」ができること
裁判所から選ばれた管理人は、その部屋の持ち主に代わって、以下のようなことができます。
保存・利用・改良行為:壊れた箇所の修理や、ベランダなどに放置されたゴミの片付けなどが行えます。
できないこと:持ち主本人の同意がない限り、勝手に部屋を売ることはできません。
議決権について:マンションの総会で投票する権利(議決権)は、引き続き持ち主本人が持ちます 。管理人が代わりに投票することはできません。
4. 管理組合で決める手順
管理組合がこの制度を利用して、裁判所に管理人を選んでもらう際の手順は以下の通りです。
理事会の決議で決める:最新の標準管理規約では、裁判所への申し立ては「理事会の決議」があれば行えるようになっています。貴マンションの管理規約を改正し、該当する条文を明記してください。
費用の請求:裁判所へ預けるお金(予納金)や管理人の報酬、弁護士費用など、管理組合が一時的に負担した費用は、最終的にその部屋の持ち主へ請求することができます。
未払い費用の回収:これらの費用を持ち主が支払わない場合、理事会の決議を経て、理事長が管理組合を代表して裁判などの法的な手続きを進めることができます。
この制度は、どうしても話し合いで解決できない「ゴミ屋敷」や「放置された空き部屋からの漏水」などのトラブルに対し、マンションの価値と生活環境を守るための有効な手段となります。
ですが......実務上、課題が多い制度でもあり、次回はこの点についてご紹介します。
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