マンションを購入された方とお話ししていると、時々こんな言葉を耳にすることがあります。
「私はこの『部屋』という空間を自分のお金で買ったんだ。廊下や配管、ましてや管理組合の活動なんて興味がないし、放っておいてほしい」
お気持ちは分かります。多額のローンを組んで手に入れた「自分の城」ですから、誰にも邪魔されずに過ごしたいですよね。しかし、マンション管理士として、あえて厳しいことを申し上げます。
「あなたは『空気』だけを買ったのではありません。巨大なコンクリートの塊と、広大な土地を『みんなで持ち合う権利』を買ったのです」
この事実を誤解していると、将来的にあなたの資産価値が守れなくなる恐れがあります。今回は、意外と知られていない「マンション所有の正体」についてお話しします。
1. あなたの部屋を支えているのは「みんなの物」です
前回の記事([分譲マンションの境界線について])でも触れましたが、あなたが単独で所有している「専有部分」は、実は躯体(コンクリート)の内側の皮一枚分とその空間だけです。
柱や梁: 建物を支える骨組みです。これは「共用部分(全員の共有財産)」です。
壁や床: 隣の住戸との境目にあるコンクリート。これも「共用部分」です。
もし、あなたが「自分は関係ない」と言って管理を放棄し、外壁のひび割れや鉄筋の腐食が放置されたらどうなるでしょうか?
あなたの「部屋という空間」を支えている骨組みが朽ちれば、その空間自体の価値もゼロになります。「部屋を守る」ということは、必然的に「建物全体を守る」ということなのです。
2. 土地と建物は「運命共同体」
一戸建てなら、建物が古くなっても土地を売ることができます。しかし、マンションは違います。
法律(区分所有法)では、部屋の所有権と土地の利用権(共有持分)をバラバラにして処分することは原則できません。
あなたが「部屋」を売ろうとしたとき、セットになっている「土地の権利」に問題があれば(例えば、管理状況が悪くて土地の権利関係が整理されていない、地代が滞納されているなど)、買い手はつきません。マンションにおいて、土地と建物は磁石のように強力にくっついた運命共同体なのです。
3. 「無関心」というコスト
「管理組合の活動に興味がない」という態度は、一見すると自由で楽に見えるかもしれません。しかし、経済的に見れば、それは「自分の財布の中身を他人に預けっぱなしにしている」のと同じです。
修繕積立金が適切に運用されているか?
無駄な工事発注が行われていないか?
マナー違反によって建物のブランド価値が下がっていないか?
これらをチェックしないことは、自分の資産が目減りしていくのを黙って見ていることになります。
4. まとめ:マンション購入は「共同事業のパートナー」になること
マンションを買うということは、単に「住まい」を手に入れるだけでなく、他の数十人・数百人の区分所有者と一緒に「マンション管理という共同事業」の出資者(パートナー)になるということです。
「部屋を買っただけだから関係ない」という考え方は、会社に投資しておきながら「倒産しても自分には関係ない」と言っているようなものです。
あなたの「大切な城」を守り、価値を維持するためには、躯体や土地という「土台」を全員で守る意識が不可欠です。
次回は、資産価値を維持することの意味について考えていきます。
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「管理組合の運営がよくわからない」「自分のマンションの資産価値が不安だ」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの資産を、法務と実務の両面からバックアップいたします。
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