2025年11月25日火曜日

「家賃がもったいない!」だけで買うと後悔するかも?あなたに知ってほしい、分譲マンションの「本当の話」

 お子さんが大きくなってきたり、今のお部屋が手狭になってきたりすると、「そろそろマイホームかな?」と考え始めますよね。

そのとき、よく耳にするのがこんな言葉です。

「家賃を払い続けるのはもったいない」

「買ってしまえば、あとは自分の資産になるし、老後も安心」

でも実は、「分譲マンションを買うこと」と「家賃を一生分まとめて払うこと」は、まったくの別物なんです。

ここを勘違いしたまま買ってしまうと、将来、「休日はゆっくりしたいのに、マンションの会議に出なきゃいけないの!?」と驚くことになってしまいます。

今回は、大切な生活を守るために知っておきたい、賃貸と購入の「決定的な4つの違い」を、わかりやすくお話しします。

1. ローンが終わっても「毎月の支払い」は一生続きます

賃貸なら、家賃を払えばそれでおしまいですよね。

でも、分譲マンションは「住宅ローン」以外にも、ずっと払い続けなければならないお金があります。

  • 管理費・修繕積立金: 共用廊下の電気代や、将来の大規模な工事(外壁塗装など)のための貯金です。

  • 固定資産税: 持ち家を持っているだけで毎年かかる税金です。

特に注意したいのが「修繕積立金」です。

新築のときは安く設定されていますが、築年数が経つと値上げされるのが一般的です。

「教育費などで出費が増える時期に、マンションの積立金まで倍になった!」なんてことにならないよう、ローンの返済額だけで資金計画を立てないことが大切です。


2. 管理会社は「大家さん」ではありません!

ここが一番の勘違いポイントかもしれません。

「何かあったら管理会社がなんとかしてくれるんでしょ?」と思っていませんか?

賃貸マンションの場合、管理会社は大家さんの代わりに権限を持っているので、「直してください」と言えば判断して動いてくれます。

しかし、分譲マンションにおける管理会社は、あくまで私たち(住民)が雇った「お手伝いさん(パートナー)」という立場です。

  • 管理会社は勝手に決められません:

    たとえばエントランスの自動ドアが壊れたとします。管理会社は「壊れていますよ」と報告はしてくれますが、「修理に〇〇万円使って直す」と決める権限は持っていません。

  • 決めるのは「住民」であるあなた自身です:

    「自分たちのお金(管理費・積立金)を使って直すかどうか」を決めるのは、そのマンションの持ち主である住民たち(管理組合)です。

「高い管理費を払っているんだから、全部やってよ!」と言いたくなる気持ちもわかりますが、彼らはあくまでサポーター。「オーナー(決定権者)」は、購入したあなた自身なのです。


3. 「総会への出席」や「理事会の役員」からは逃げられません

賃貸にはない、分譲マンション特有の最も大きな負担がこれです。

マンションを買うということは、自動的に「管理組合」の一員になることを意味します。そこには必ず「義務」が発生します。

  • 年に1回の「総会」への出席:

    マンションの予算や決算、重要なルールの変更を決める最高意思決定機関です。「面倒だから欠席」とはいきません。自分たちの資産価値に関わる重要な話し合いに参加し、議決権を行使する必要があります。

  • 数年に一度回ってくる「理事会の役員」:

    多くのマンションでは、輪番制(持ち回り)で理事会の役員にならなければなりません。

    役員になると、毎月1回程度の理事会(会議)に出席し、修繕工事の検討や、住民間のトラブル対応(騒音やゴミ出しマナーなど)について話し合う必要があります。

「仕事が忙しい」「子育て中だから」という理由は、基本的には免除の理由になりません。なぜなら、他の住民の方もみんな条件は同じだからです。

休日の貴重な数時間をマンションのために使う覚悟が必要になります。


4. お部屋の中の故障は、すべて「自分のお財布」から

賃貸なら、エアコンや給湯器が壊れたら「大家さーん、お湯が出ません!」と電話すれば、大家さんの費用で直してくれましたよね。

分譲マンションでは、お部屋の中のことはすべて自己責任です。

  • 真冬に給湯器が壊れた!(交換費用:15万〜30万円)

  • 不注意でドアに穴を開けてしまった

  • キッチンの蛇口から水漏れした

これらはすべて、自分で業者さんを探して、自分のお金で修理しなければなりません。

「家を買うために貯金を全部使っちゃった」という状態だと、急な故障に対応できなくなってしまいます。


【まとめ】「賃貸」と「購入」の違い

賃貸マンション分譲マンション
毎月の支払い家賃だけローン + 管理費・積立金(値上げあり)
管理会社の立場

大家さんの代わり


(決定権がある)

住民が雇ったサポーター


(決定権はない)

住む人の義務家賃を払うこと総会への出席・理事会の役員就任
設備が壊れたら大家さんが直してくれる自分で業者を手配して、自分のお金で直す

さいごに:買うのは「箱」ではなく「暮らし」と「責任」

ちょっと厳しい現実をお話ししましたが、もちろん分譲マンションには素晴らしい点がたくさんあります。

  • 壁に釘を打って好きな棚を付けられる

  • 防音性が高く、足音などをあまり気にしなくて済む

  • セキュリティや設備が充実していて、安心して暮らせる

大切なのは、「買えば終わり」ではなく、「買ってからがスタート」だと知っておくことです。

「毎月のローン」だけでなく、「総会や役員としての時間的な拘束」や「将来の修繕費用」までしっかり計算に入れ、「自分たちが主体となってマンションを守っていくんだ」という意識を持つこと。

それができれば、分譲マンションはあなたにとって最高のお城になるはずです。

素敵なマイホーム選びのために、ぜひ「見えないコスト」と「所有者としての責任」のことも頭の片隅に入れておいてくださいね。

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