2025年11月27日木曜日

リフォーム前に要確認!フローリング工事のトラブルを防ぐルール作り

 最近、中古マンションを購入してリノベーションをしたり、古くなったカーペットをフローリングに張り替えたりする方が増えていますね。 ピカピカのフローリングは気持ちが良いものですが、実はマンション管理の現場では、この「フローリング工事」が原因でご近所トラブルになってしまうケースが少なくありません。

今回は、マンションにお住まいの皆さんが安心してリフォームを行うために、そして管理組合としてトラブルを防ぐために知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。

なぜフローリング工事が問題になるの?

一番の原因は「音(騒音)」です。 カーペットや畳に比べて一般的なフローリングは音が下に響きやすい性質があります。上の階の人が「綺麗になって嬉しい!」と喜んでいても、下の階の人にとっては「足音がうるさくて眠れない…」という深刻な悩みになってしまうことがあるのです。

特に、築年数が経っているマンションでは、元々のルール(管理規約)にフローリング工事に関する決まりがないことが多く、トラブルになりがちです。

1.トラブルを防ぐための「2つのルール」

もし、あなたがお住まいのマンションの規約に「フローリング工事」についての記述がない場合、どうすれば良いのでしょうか? 法律(区分所有法)では、マンション内のルールを管理規約で定めることができるとしています。

トラブルを未然に防ぐため、以下の2つのルールを規約に追加することをおすすめします。

(1) 工事の「届出」を義務にする

勝手に工事を始めてしまうのではなく、「いつ、どこの部屋で、どんな工事をするのか」を事前に管理組合(理事会)へ知らせてもらうルールです。これにより、管理組合が工事内容を把握し、必要であれば「その工事は困ります」と指導できるようになります。

(2) 床材の「遮音等級(しゃおんとうきゅう)」を決める

これがとても重要です。「遮音等級」とは、簡単に言うと「どれくらい音を伝えにくいか」を表す基準(L値などと呼ばれます)のことです。

ここで注意が必要なのは、「L値」は数字が小さいほど遮音性能が高い(静かである)ということです。 一般的にマンションのリフォームでは「L-45」という等級が基準になることが多いです。

  • L-45の目安: 上階でスプーンなどを落とした音が、下階では「小さく聞こえる」程度。生活音として許容できる範囲とされています。

  • 「L-45以上の性能」とは: 数値で言うとL-45やL-40などを指します(L-50やL-55は性能が下がるためNGです)。

「どんなフローリングでもOK」ではなく、「メーカーが定めた『L-45』以上の性能がある、防音タイプの床材を使ってください」というように基準を明確に決めておくことが大切です。

これらをルール化しておけば、「リフォームしたい人」も基準に沿って選べば良いので迷いませんし、「周りの住人」も安心できます。

2.ルールを変えるにはどうすればいい?

「じゃあ、すぐにルールを作ろう!」と思っても、理事長さんの一存だけでは決められません。 管理規約を変更するには、総会(もしくは集会)を開いて承認を得る必要があります。

これはマンションの憲法を変えるような重要なことなので、普通の決議(過半数)よりも厳しい条件が課されています。 具体的には、「区分所有者(オーナー)の数」と「議決権(投票権)の数」のそれぞれ4分の3以上の賛成が必要です(特別決議といいます)。

少しハードルが高く感じるかもしれませんが、将来のトラブルを減らし、マンションの資産価値を守るためには非常に大切な手続きです。

【2026年4月以降】法改正でハードルが下がります

これまで、規約変更は「全区分所有者の4分の3以上」の賛成が必要だったため、無関心で総会を欠席する人が多いと、それだけで否決されてしまう(欠席=反対票と同じ扱い)という課題がありました。

しかし、2026年4月1日施行予定の法改正により、この要件が緩和される見込みです。 新しいルールでは、総会に過半数の人が出席していれば、「出席した人の4分の3以上」の賛成で規約変更が可能になります(出席者ベースの決議へ変更)。

これにより、今後は管理組合に関心を持って参加する住民の意思で、よりスムーズにルール作りができるようになると期待されています。

3.まとめ

リフォームは個人の自由のように思えますが、マンションという「共同住宅」では、お互いの快適な生活を守るための配慮が欠かせません。

  • これからリフォームする方へ: 管理規約を確認し、遮音性能に配慮した床材を選びましょう。

  • 管理組合の役員さんへ: もし規約に定めがない場合は、トラブルが起きる前にルールの見直しを検討してみてください。

皆さんが気持ちよく暮らせるマンション作りの参考になれば幸いです。

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