調査によると、管理物件の約78%でゴミステーションに関する何らかのトラブルが発生しており、特に「居住者以外の不法投棄」や「居住者の分別間違い・収集日違い」が主な原因となっています。
1. 違反者への対応:段階的な「4つのステップ」
入居者によるルール違反を改善させるためには、以下の4つのステップを順番に踏んで、段階的に注意・警告を行うことが効果的です,。
ステップ1:全体へのルール再周知(やんわりと警告)
まずは「ゴミ出しのルール違反が見られます」といった全体的な張り紙を掲示し、正しいルールを再周知します。この段階では、特定の個人を指摘せず、問題が起きている事実を知らせるのが目的です。
ステップ2:写真付きで具体的な注意喚起(対象を絞る)
周知しても改善しない場合、違反されているゴミを撮影した写真を添えた注意書きを掲示し、具体的な改善を促します。
ステップ3:「開封調査・特定」の警告とカメラ設置(抑止力を強化)
さらなる改善が見られない場合、「開封してルール違反者を特定する」と張り紙で警告します。この段階で、防犯カメラを設置することも非常に有効な抑止策となります。
【補足】ゴミ袋の開封調査は問題ない? 管理会社が住環境を適正に維持・管理する目的で違反ゴミ袋を開封調査することは、違法ではない(社会的相当行為として損害賠償の対象とはならない)と考えられています。ただし、二次トラブルを防ぐために、あらかじめ管理規約や使用規則に「ルール違反があった場合は調査を行う」旨を記載しておくことが推奨されます。
ステップ4:特定した本人への文書通知と契約解除の警告
ゴミの開封調査や防犯カメラの映像などにより違反者を特定できた場合、本人に対して文書でルールの徹底を強く促します。さらに、改善されない場合は契約解除の可能性もある旨を警告します。ただし、ゴミ出し違反のみを理由に退去させるのは、一般的に難しいとされています。
2. トラブルを防ぐための「最強の抑止力」
違反者が特定できない場合や、そもそも違反をさせない環境づくりには、以下の対策が有効です。
【監視カメラ導入の具体的な効果】
ゴミステーションに監視カメラを設置した自治会への調査では、明確な効果が確認されています。
- カメラ設置後、不法投棄ごみの量が「減った」という回答が9件ありました。
- 分別されていないごみの量が「減った」という回答も8件確認されています。 カメラにより、常習的な不法投棄や未分別のごみが減ったことが実証されています。 カメラを設置する際は、目立つところに「防犯カメラ録画中」といったステッカーを貼ることで、抑止力を高められます,。
【物理的・環境的な「捨てさせない工夫」】
犯人特定に時間をかけるよりも、「今後、捨てさせない」環境を整えることが現実的です。
- 清潔さの維持:普段からゴミ捨て場をきれいに保ち、「管理が行き届いている」印象を与えることで、不法投棄のターゲットとされるのを防ぎます。
- 施錠やネット:ゴミ捨て場をネットなどで覆ったり、扉付きのゴミ捨て場に鍵をつけたりすることで、「さっと捨てて立ち去りたい」不法投棄者が簡単に捨てられないようにします,。
3. 進化するゴミ置き場とリサイクル事例
入居者の分別意識を高め、ゴミを減らすための先進的な取り組みも増えています。
- 快適なゴミ置き場「GOMMY」:従来の「暗い、汚い、くさい」イメージを覆し、明るくデザインされたり、エアコンを設置して生ゴミの臭いを抑制したりする物件もあります。これにより、分別がしやすくなるだけでなく、ゴミ出しに来た人同士のコミュニケーション(ゴミニケーション)が生まれ、マナー意識の向上にもつながります。
- 廃食油(調理後の油)の回収:家庭で出た廃食油を回収しリサイクルする仕組みを導入することで、年間で大量のCO2排出量を削減する効果があります。油を固めて捨てるよりも、ペットボトルに移し替えて回収ボックスに入れるほうが手間が少ないため、入居者の協力も得やすいことが示されています。
- 「わからないゴミ」コーナー:分別に迷うモバイルバッテリーやスプレー缶などが誤って燃やせるゴミに混入すると清掃車内で爆発事故につながる危険があるため、これらを適切に処理するための「わからないゴミ」コーナーを設けることで、事故を予防できるという提言もあります。
4. 悪質なケースへの「最終手段」(法的措置)
度重なる警告にもかかわらず悪質な迷惑行為(ゴミ屋敷化による悪臭の発生など)が続く場合、管理組合は裁判所に法的措置を請求できます。
これは区分所有法に基づいており、管理組合は総会の決議を経て、以下のような措置を裁判所に請求できます。
- 行為の停止、ゴミの撤去(結果の除去)の請求:悪臭の原因となる行為を止めさせたり、ゴミを片付けさせたりすること。
- 専有部分の使用禁止の請求:違反者がその部屋を使用できなくする請求。
- 区分所有権の競売請求:悪質性が極めて高く、他の方法で解決が困難な場合に、その部屋の所有権の競売を請求する。
ゴミ出しトラブルの解決は、一部の被害者や管理会社に任せるのではなく、管理組合全体で関心を持ち、毅然とした態度で取り組むことが重要です。
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