マンションを管理していく中で、もっとも困るのが「連絡が全く取れない部屋のオーナーさん」の存在です。 「手紙を送っても届かない」「電話もつながらない」……。こうした方がいると、実はマンション全体の将来が危うくなることをご存知でしょうか?
今回は、2025年以降の新しいルールで、この問題がどう解決されるのかを解説します。
1. なぜ「連絡が取れない人」がいると困るのか?
マンションの大きなルール変更(管理規約の変更)や、建替えの検討、多額の費用がかかる工事などは、総会で「全体の○%以上の賛成」を得る必要があります。
これまでは、連絡が取れない人も「全員」の中に含まれて計算されていました。 つまり、連絡が取れない=賛成できない=自動的に「反対」としてカウントされてしまうという仕組みだったのです。
その結果、「100人中75人の賛成が必要なのに、10人が行方不明で、あと数票足りずに工事ができない!」といった事態が全国で起きていました。
2. 新しいルール:「計算から外してOK」に
新しい法律と管理規約では、「いくら調べても連絡がつかない人は、多数決の計算(母数)から外してもいい」という画期的な仕組みが導入されました。
これまでの計算: 100人中、75人の賛成が必要(行方不明者も100人に含まれる)
これからの計算: 100人中10人が行方不明なら、残りの90人を基準にして、その中で賛成の割合を計算できる
これにより、やる気のあるオーナーさんたちの意思だけで、マンションの重要な決定をスムーズに進められるようになります。
3. どうすれば「外していい人」だと認められる?
もちろん、理事会が勝手に「あの人は無視して進めよう」と決めることはできません。公平性を保つために、以下のステップが必要です。
しっかり調査する まずは管理組合として、住民票を取ったり、親戚に連絡したりと、できる限りの調査をします。(現実的には、弁護士や司法書士に委任します。)
裁判所に申し立てる 「これだけ調べましたが、どうしても見つかりません」と裁判所に報告し、認めもらう必要があります。
裁判所からのOK(決定)をもらう 裁判所が認めてくれれば、その人は正式に「多数決の計算から外せる人」になります。
4. 他の制度との違い(「部屋の管理」はどうなる?)
今回のお話はあくまで「多数決の計算」の話です。 もし、その行方不明の方の部屋から「水漏れがしている」「管理費が何年も未払い」といった個別の問題がある場合は、別途「部屋の管理人さん(所有者不明専有部分管理人)」を裁判所に選んでもらう別の仕組みも用意されています。
まとめ
マンションは、そこに住む皆さんの「意思決定」で維持されています。 「連絡が取れない人のせいで何も決まらない」という停滞を防ぐために、この新しいルールは非常に強力な武器になります。
「うちのマンションにも、ずっと連絡が取れない人がいるな……」と心当たりのある理事会の皆様、まずは名簿の確認から始めてみてはいかがでしょうか。
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