マンションの共用部分に施工不良や欠陥が見つかった際、その損害賠償金を誰が請求し、どのように管理すべきかは非常に重要な問題です。
2026年(令和8年)4月施行の改正法や最新の標準管理規約により、これらの手続きが一元化され、管理組合が主導して修繕資金を確保しやすくなります。本記事では、理事会や所有者の皆様が知っておくべきポイントを整理して解説します。
1. 損害賠償請求権は「誰」にあるのか?
共用部分の損害賠償請求権が誰に帰属するかは、不具合の原因によって以下の2つのパターンに分かれます。
特に大規模修繕工事の不具合については、個々の区分所有者が個別に請求することはできません。
2. 2026年改正法と新ルールによる「一元化」
これまでは、新築時の欠陥に対して管理組合が動く際、区分所有者全員の代理権をまとめるのが困難なケースがありました。これを解消するため、新しいルールが導入されます。
理事長による一括代理: 理事長が、現在の所有者だけでなく「旧区分所有者(既に売却した人)」も含めて一括して請求・受領できるようになります。
個別請求の禁止: 重複受領を防ぎ、確実に修繕資金を確保するため、区分所有者が個別に行使することはできないと定められました。
代理拒否の禁止: 新規約では、物件売却時に「管理者に代理させない」という意思表示をしないことが義務付けられます。
これにより、受領した賠償金を確実に「修繕積立金」へ組み入れ、建物全体の維持管理に充てることが可能になります。
3. 税務と時効の注意点
賠償金を受け取った際の税金や、請求できる期限にもルールがあります。
税務上の取り扱い
所得税・法人税: 原則として非課税です。損害の実費補填という性質を持つためです。
消費税: 対価性がないため、課税対象外(不課税)となります。
請求の期限(時効など)
契約不適合責任: 不適合を知った時から1年以内に通知する必要があります。
不法行為責任: 損害と加害者を知った時から3年(生命・身体は5年)、または不法行為から20年で時効となります。
4. 管理組合が今取り組むべき実務対応
改正法や新規約の効果を最大限に活かすため、以下の対応を検討しましょう。
管理規約の改正: 令和7年改正の標準管理規約(第24条の2)を管理規約に追記し、理事長の一元的な請求権と旧区分所有者の代理権限を明文化します。
「事故カルテ」の整備: 写真、交渉記録、領収書などを一元管理し、理事交代時にもスムーズに引き継げるようにします。
会計処理の整理: 受領した賠償金は「修繕積立金会計」に、弁護士費用などの回収金は「管理費会計」に充当するなど、使途を明確にします。
今回の法改正に合わせて、貴マンションの管理規約が最新の状態に対応しているか、一度チェックしてみるのはいかがでしょうか?
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