2026年2月2日月曜日

解説「令和7年標準管理規約 第21条」

 マンション管理の「憲法」ともいわれる標準管理規約が、2025年(令和7年)に改正されました。今回の改正の目玉の一つが、第21条(敷地及び共用部分等の管理)です。

一見難しそうな条文ですが、要約すると**「老朽化するマンションをどう守り、災害時にどう迅速に動くか」**という、私たちの資産価値を守るための極めて重要なルールです。初心者の方にも分かりやすく、4つのポイントで詳しく解説します。


1. 「誰が管理する?」の基本ルールとバルコニーの扱い

マンションには、みんなで使う「共用部分」と、自分だけで使う「専有部分(お部屋)」があります。

  • 基本原則: 敷地やエントランス、外壁などの共用部分は、管理組合が責任を持って管理し、その費用も負担します。

  • バルコニーの特殊ルール: バルコニーは「専用使用権」がある共用部分です。そのため、以下のように役割が分かれています。

項目

内容

責任・負担の所在

日常の管理

毎日の清掃、窓ガラスが割れた時の交換など

区分所有者(住人)

計画修繕

数十年に一度の外壁塗装や防水工事など

管理組合

このように、「普段使いは個人、建物の維持は組合」という棲み分けが明確にされています。


2. 【重要】「お部屋の中の配管」も組合でまとめて修理可能に!

今回の改正で最も注目すべきは、「専有部分の配管(枝管)」を管理組合が一体的に工事できるようになった点です。

これまでは、床下の配管は「個人の持ち物」として扱われ、組合が修繕積立金を使って直すにはハードルがありました。しかし、配管が原因の漏水トラブルが増えている背景を受け、ルールが緩和されました。

  • 一体管理のメリット: 本来は個人の持ち物である「枝管」も、建物の「立て管」とあわせて一斉に工事することで、コストを抑え、漏水事故を未然に防ぐことができます。

  • 実施の条件: 総会で決議すれば、管理組合が工事の主体となれます。

  • 公平性の確保 すでに自費で配管を更新した住人が損をしないよう、補償などの配慮も検討されます。


3. 「勝手な修理」は原則禁止!でも緊急時は…

共用部分はみんなの財産です。そのため、個人の判断で勝手に共用部分の工事(保存行為)をすることは禁止されています。

  • 基本: 工事が必要な場合は、理事長に書面などで申請し、承認を得る必要があります。

  • 緊急時の特例: 「上の階から激しい雨漏りがあり、今すぐ直さないと生活できない」といった緊急性が高く、かつ専有部分の使用に支障が出ている場合に限り、承認なしで応急処置を行うことが認められます。

ただし、ルールを無視して勝手に行った工事の費用は、あとから組合に請求することはできず、自己負担となるので注意が必要です。


4. 災害時に発揮される「理事長の即断権限」

地震や台風などの災害時、いちいち会議を開いていては被害が拡大してしまいます。そこで、理事長の権限が強化されました。

  • 改正のポイント: 災害などの緊急時には、理事長が単独の判断で、復旧のための応急処置(小修繕や点検)を行えるようになりました。

  • 想定されるケース:

  • 壊れた給排水管の仮復旧

  • 被災箇所の安全点検

  • 二次被害を防ぐための破損箇所の補修

これにより、有事の際のスピード感が大幅にアップします。


まとめ:これからのマンション管理

改正された第21条は、以下の3つのキーワードに集約されます。

  1. 効率化: 配管の一体管理で、漏水リスクとコストを削減。

  2. 明確化: 「誰が、いつ、どこまで直すか」のトラブルを防止。

  3. スピード: 災害時に迷わず動ける体制の構築。

マンションの老朽化が進むこれからの時代、この第21条は私たちの住まいを守るための「守護神」のような条文といえるでしょう。

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「管理組合の運営がよくわからない」「自分のマンションの資産価値が不安だ」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

高田マンション管理士事務所

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